はじめに

 超高齢化社会の中、高齢の親と同居している方もいますが、福井は他県に比べて独居の高齢者や、高齢者のみの世帯率が高いです。そうなるには様々な原因があると思いますが、その1つとして、福井は全国的にも学力が高く、子供が県外の大学に行き、そのまま県外に就職することで福井に戻らないというケースが多いのではないかと思っています。

親は子供に心配をかけたくない

 色々と相談を受けている中で、「子供には迷惑をかけたくないから、できるだけ元気でいたい。」「家族に迷惑がかかるから寝たきりにはなりたくない。」といった思いをよく聞きました。子供としても、昔の輝いていたころの親の姿を見ているので、まさか介護が必要になるとは思ってもいないでしょう。
 特に遠方で生活していると、普段の生活の様子が分かりません。たまに帰省した時には、親は必死で元気な姿を取り繕い、子供は親がまだまだ元気だと思って安心して県外に帰ります。
しかし、介護が必要になる場面は急に訪れます。今まで介護と無縁の生活を送ってきた人が、急に介護が必要になった場合など、どうすれば良いか難しいと思いますが、そんな時に頼りになるのが居宅介護支援事業所です。

居宅介護支援事業所とは

 居宅介護支援事業所は、介護を必要としている高齢者が自宅で適切な介護サービスを利用できるように、各種手続きや、サービス調整などを行う施設です。
 介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者さんやご家族からの相談を受け、本人の希望や状況、環境にあわせた適切な計画を提案し、作成します。

居宅介護支援事業所利用までの流れ

要介護認定を受ける

 40歳以上の方は介護保険料を納めていますが、それだけでは介護保険は利用できません。まずは介護保険申請の手続きを行います。市役所の窓口や、お住まいの地区担当のほやねっと(地域包括支援センター)などで申請手続きができますが、当事業所でも申請手続きすることが可能です。来所するのが難しい方は、ご自宅や入院先まで申請手続きに伺います。

介護保険申請から要介護認定されるまで

 認定調査センターの方から連絡が入るので、ご自宅や、入院先の病院などで認定調査を受けます。もう一つ必ずしなければいけないことが、主治医の意見書を書いてもらうことです。難しく考えなくても、かかりつけ医に「介護保険の申請をしたいので主治医の意見書を書いてほしい。」と依頼して受診してください。当事業所で申請代行する場合は、こちらから主治医の先生宛に電話などで事前に依頼しておきます。
 申請から概ね1か月程度で認定の通知が届きます。通知が届くまでの間に、すぐにでも介護サービスを利用したい場合は、暫定的に居宅サービス計画(ケアプラン)を作成して利用することが可能です。

居宅介護支援事業所を決める

 認定の結果、要支援1・2の方はお住まいの地区のほやねっと(地域包括支援センター)が担当になります。要介護1~5に認定された方は、市役所や、ほやねっとから、居宅介護支援事業所を紹介してもらいましょう。
 いくつかの事業所に連絡をして、対応が良いと思ったところを選ぶのも良いと思います。当事業所でも担当できますので、直接依頼していただいても大丈夫です。

担当のケアマネジャーを決める

 居宅介護支援事業所に在籍している中から担当のケアマネジャーを選びます。ケアマネジャー1人が担当できる件数は決まっているので、実際のところ自由に選ぶのは難しいと思いますが、本人やご家族にとって、ケアマネジャーは、利用者の今後の生活を支える大切な味方になる人です。ケアマネジャーの人柄や雰囲気なども踏まえて選びましょう。相性もあると思いますので、合わないようであれば変更も可能です。本人、ご家族ともに納得できたら居宅介護支援事業所と契約します。

介護サービス利用までの流れ

面談

 担当ケアマネジャーが、ご自宅や入院先の病院などで、本人、ご家族と面談します。お互いにどのような方か分からないと不安ですよね。

情報収集と分析

 本人、ご家族は、困りごとの原因となっているものが何なのか、原因が分かっていてもどうやって解決すればいいのかが分からないという場合が多いです。介護の専門職である介護支援専門員(ケアマネジャー)が、本人、ご家族との面談や、主治医、行政から利用者にかかわる医療や要介護認定の情報を入手して、生活に支障をきたしている課題が何かを分析します。

居宅サービス計画書(ケアプラン)作成

 収集した情報を分析した結果や、本人、ご家族の意向を基に目標を設定し、目標を達成するための具体的な支援方法を考えます。支援内容を、本人、ご家族、今後かかわりを持つ事業所などと共有できるように、ケアプランの原案を作成し、本人、ご家族に確認していただきます。

今後の支援のための話し合い

 ケアプラン原案に沿って、介護サービスが利用できるように、サービス事業所と連絡調整します。今後、利用者本人やご家族とかかわりを持つ事業所などを招集し、話し合いの場(サービス担当者会議)を設定します。その際にご利用になるサービス事業所と契約を交わす場合が多いです。

ケアプランの同意

 ケアプラン原案を基に話し合いをし、利用者本人、ご家族の同意を得ます。同意を得たケアプランを関係事業所に交付し、ケアプランに沿って介護サービスが提供されます。

介護サービス利用後から

 介護サービスの利用が開始されても、ケアマネジャーとのかかわりは続きます。ケアマネジャーは最低月1回は利用者本人の様子を確認するために訪問します。訪問した際に状態に変化がみられた場合や、本人、ご家族の要望などを基に、随時ケアプランの見直しをします。

まとめ

 居宅介護支援事業所は、介護の専門職であるケアマネジャーが在籍している施設です。色々と説明させていただきましたが、難しく考えず、ケアマネジャーは

  • 介護保険のことも含め、色々なことを相談できる人
  • 本人や家族では調整が難しいことを代わりに調整してくれる人

だと思っていただければ良いと思います。
居宅介護支援事業所は、介護が必要になった本人やご家族にとっての心強い味方です。お気軽にご相談ください。